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毎日ワクワク&しみじみ、ぎったんばったん。

北海道住まい。亜熱帯の血を持つ、寒がりライターです。

有楽町をちょっと裸足であるいてみた

20代半ばのころ、

母ゆかりの地方の東京会が何周年記念とかで、盛大な記念式典を開くことになった。

場所は有楽町そばの、東京国際フォーラム

千人規模が入れる会場を貸し切っていたから、かなり気合いが入っていたと思う。

 

なんにでも興味を持ちやすいわたしは、

その式典で行われる、歴史の歩みをたどる一般参加のミュージカルメンバーになった。

定期的に稽古場へ通っては、地方ゆかりの皆さんと練習に励んだ。

指導は、ある劇団の人たちだったので、

しろうとの私たちにもかなり本格的におしえてくれた。

 

わたしは女学生の役で、二つぐらいセリフがあったような。

本番では赤と紺のはかまを着付けてもらって、すごくうれしかった。

だって大学の卒業式では、はかまのつもりがレンタル5万で、

くじけてそこらへんの駅ビルで買った1万のスーツを着ていたから。

 

練習の時には、関東大震災が起こったときのシーンもあった。

わたしは、思わずそばにいた同年代の男性にしがみついた。

もちろん下心などなく、いきなり地面がグラグラでっかく揺れたらと、

イメージでとっさに出た行動だ。

しかし「あらまー」といういちめんのおじさま、おばさまの視線に囲まれ、

それ以降、気さくに接してくれた男性が、

微妙なテレの距離を取り出したことは、

みずからもオバチャンの、いまになってわかること(しみじみ)。

 

さてさて、舞台当日は歌あり、ミュージカルありの華やかなものとなり大成功!

ということで、出演者のわたしたちは満足の笑みとともに控え室に・・・

ない、ないぞ、わたしの靴がない!

舞台では、わたしは和装なので草履をはいていたのだ。

おつかれさまの声が飛び交う中、

ずーーーっと靴が少なくなっていくのを凝視していたが、うーむ。

だれかが間違って、はいていったのね。

どうしませう!

 

草履はすぐに、借りていた人に返してしまった。

頭のなかでパーッと思考がかけめぐる。

仕方ない、靴を買いに行こう。

しかし、ここから歩いて10分内には靴屋さんはないはず。

はだしで歩くから(もう、この時点で決意を固めている)、

デパートはたくさんあるけど、

デパートではだしは恥ずかしい(てか、道を歩くのにもはだしはないと思うが)。

最悪は、はだしで家まで帰るか?(ていうか、その足で電車にも乗るのか?>自分)

 

そうだ!と、わたしはすごくいいことを思いついた。

じつは、わたしの職場はここから5分のビル内にある。

自分専用のロッカーの中に、履き替え用の靴があるはず。

わたしはスタスタとはだしで歩いた。いや、ウソです。

はだしのアスファルトって、むっちゃ痛い!すごく痛い!

どれぐらい痛いかは、みなさんもどうぞ近場で試してみてください。

 

アンデルセンの「人魚姫」が頭に浮かぶまま、イテテ、イテテとビルに到着。

自動ドアは閉まっていた。

まずい、きょうは日曜日。ビルはお休みでした。あうー(嗚咽)。

しかし人魚姫状態はイヤなので、守衛さんをブザーで呼ぶ。

必死に事の次第と靴ほしい絶体絶命状況を訴える。

守衛さんは、会社の許可が必要だからと、

非常連絡先の総務部長自宅に電話をつないでくれた。

またもや必死説明アゲイン。

「そうですか、いいですよ」

いかにも家庭でくつろいでいるらしき総務部長の和やかな声、ププッという笑い付き。

その節はありがとうございました。

 

靴ゲットー!!かくして私は無事に家まで帰ることができた。

靴は結局見つからなかったけれど、

アスファルトでも、痛くなく歩ける靴というもののありがたさを、

しっかりと噛みしめたわたしである。